生分解性マルチの土壌生分解のメカニズム
生分解性マルチが水と二酸化炭素に分解するまでの過程は、加水分解と土壌の微生物の分解酵素による分解の大きく2段階に分かれます
生分解の第 1 段階 (加水分解)
第1段階は、空気中や土壌中など環境中の水分により加水分解がおきます。
この段階の生分解性マルチは小さな穴が空いたり、亀裂が生じたりします。この段階が進むとフィルムは強度や柔軟性、伸縮性が弱まります。力を加えると切れるような状態になっていきます。

圃場で土に触れている部分は、土壌中の微生物から分泌される酵素の作用によっても分解がおきます。


生分解の第2段階 (土壌微生物の分解酵素による分解)
第2段階は、作物の収穫後に第1段階が進んだ生分解性マルチを、ロータリーなどで小さく切断して圃場にすき込むと、土壌中の微生物から分泌される分解酵素の働きにより徐々に分解します。
これが生分解性と呼ぶ理由です。この過程で最終的には水と二酸化炭素に分解されて自然界に循環します。

生分解性マルチの分解は、このような過程をたどるため、使用する時期や環境条件、土壌の状態により差が生じます。
特に傾向としては、温度や湿度が高い環境では、第1段階が早く進みます。第2段階では、土壌の微生物の働きが活発になる環境下で生分解が早く進みます。
なお、農薬の成分が土壌に残っている状態で生分解性マルチを使用すると、残留農薬の成分により、この第1段階の分解(亀裂の発生)を早めることがあります。